印刷会社の営業職がセールスするのは今や無形商材がメインともいえる時代。営業職としてのやりがいや適した人材の要点を紹介します。
例えば、商品カタログを企画提案から受託した場合、印刷会社の営業職が担当する業務はクリエイティブのプロデュースになります。また、スーパーのチラシ制作なら、スピーディーかつ安定に業務が回るようなソリューションを提供する、PM(プロジェクトマネージャー)的役割になることもあるでしょう。
その印刷会社が持つ技術やサービスがベースにはあるものの、案件ごとにクライアントのニーズに応える魅力的な提案をするのが印刷会社の営業職であり、カタチのない無形商材営業だからこそ、個人スキルを活かせる余地が大きいともいえます。
無形商材営業は、信頼を得ることによってリピート受注につながりやすくなるという面もあります。有形商材と違って、スペックの単純比較ができないため、案件ごとにクライアントのニーズに応えていくことで、クライアントから見ても依頼しやすい営業職になるわけです。
こうした顧客とのつながりは、他の顧客に対する提案でも応用ができるなど、営業としての好循環につながるポイントでもあります。
無形商材営業の顧客対応における重要なスキルがヒアリング能力。これは単に顧客のニーズを聞くという意味ではなく、先方担当者とのやりとりの中で解決したい課題や達成したい目的、発注要件などを引き出すコミュニケーション能力といった意味です。顧客側にも迷いや未整理な点もあるでしょうし、それらを整理してわかりやすく説明できる人材なら、無形商材営業に合うでしょう。
無形商材営業の場合、自社サービスをストレートにアピールしても顧客が納得してくれるとは限りません。例えば、販促ツールのクリエイティブ制作の場合、デザインをアピールしても好みに合わないケースもあり、成功事例の紹介やA/Bテストなど施策の工夫も絡めて提案するようなフレキシビリティが不可欠。これは、多角的視野がないと難しい対応力といえます。
無形商材営業にプラスして、事業領域を広げている印刷業界の営業職にとって、顧客とまめにコミュニケーションをとれる人材であることも極めて重要。顧客が抱える課題を素早くキャッチアップするためにも密に連絡をとり、それが相手に煩わしさを感じさせない配慮もすること。中長期にやりとりすることで、顧客からいわれる前に自主提案することもできるでしょう。
印刷業界のメイン商材は有形というイメージがあるかもしれませんが、印刷事業といわれる案件でもクリエイティブやマーケティング、そしてそれらのプラニングを含めてワンストップ対応するケースは、今や珍しくありません。ましてやBPOサービスのように、顧客側の業務を一括受託できる体制を持つ印刷会社もあるほど。それら多角的サービスを顧客にセールスする営業職は、顧客の課題をトータルで解決するというミッションを受け持つ重要なポジションなのです。