デジタルもカバーするクリエイティブ制作やコンサルティングともいえるマーケティング全般の業務支援など、印刷事業をコアとしつつも対応サービスを多様化しているのが印刷業界のトレンド。その中でも、成長性やDX支援などに強みを持ち、10年連続増収を実現している印刷会社のMICにフォーカスして、スタッフのインタビューから仕事内容ややりがいなどを紹介します。
印刷会社でDMの企画~印刷を請け負う場合、DMにQRコードを載せてリンク先となるwebサイトの開発まで制作対応するのもよくあること。さらに、webサイトからのエンドユーザーの申込に対する対応や、施策全体の結果分析など、アナログ・デジタルの制作だけでなく、マーケティング関連全般のサポート、あるいはプロジェクト全体をワンストップ対応できる印刷会社も増えてきています。
印刷会社の仕事は多角化して業績を伸ばしていることも多く、そうした優良企業ほどキャリア採用にも積極的です。クリエイティブ系の転職をしたいなら、ぜひともリサーチしておくべき業界のひとつでしょう。
IT時代における情報管理の支援を行なっており、たとえばICカードやセキュリティ管理システムといった要素のほか、マーケティング領域のパンフレットやチラシ、WEB、スペースデザインといった形でトータルソリューションを提供。従来の紙のほか電子書籍への参入にも積極的な企業が増えています。「情報の価値を高め、効果的にどう届けるか」を追求できる分野と言えます。
生活者のさまざまなニーズに対して製品やサービスで応える分野です。紙やラベル、フィルム包装材といった製品パッケージに加え、美しさや肌触りを追求した建装材、透明なフィルムやプラスチック成形品といったもので、快適かつ安心な暮らしに直結した商品・サービスを提供できます。
印刷テクノロジーをベースに、液晶ディスプレイや半導体部品を扱うエレクトロニクス事業。高速で大量の印刷、微細な印刷、曲面への印刷などの従来の印刷で培った技術は、精密な電子回路や部品の印刷に応用されており、世の中の「便利」に大きく寄与しています。
上記のような領域に進出し成長を続けているのは、大手の印刷会社だけではありません。大手にも引けを取らない業績を示しているのが、MIC株式会社。「印刷業界の従来のモデル」に囚われず、企画・デザイン、マーケティング、デジタル・システム化、ロジスティクスまでフルサービスを提供し、10年連続の増収増益を続けています(2021年時点)。
MICは1946年創業の歴史ある印刷会社ながら平均年齢は30.0歳と若くフレッシュで、事業領域が多岐にわたっているのが大きな特徴。印刷物を含めたクリエイティブデザインやデジタルコンテンツの制作・配信さらにマーケティング事業全般やICTシステム開発、BPOなども手掛けています。
とくに、クリエイティブとテクノロジーによる施策提案体制があるのは強みのひとつといえます。
MICの顧客企業に対するサービスは、トータルの課題解決サポート。顧客の商品やサービスをエンドユーザーに届けるために、パートナーとして業務全般に対応できる体制を持っています。
営業職は単なるセールスではなく、コンサル営業ともいえる役割。企画提案や実施後の分析やフィードバックまでカバーします。
デザイン職は印刷物の制作に加えてデジタル分野でwebや電子書籍といったコンテンツ制作、各種ソリューションのUI・UX開発などを手掛けるクリエイターが揃っています。
MICの仕事内容を見てみると、印刷事業→クリエイティブ制作→デジタル・オンライン対応→システム開発といったようにIT領域に進出。
一方、マーケティング関連では印刷事業→販促物制作→調査・企画・分析→事務局対応→MSPといったように広告代理店とも競合する存在ともなっています。
単純に事業領域を広げているわけではなく、自社の強みを発展させているのが注目点。2012年から10年連続で経常利益をアップさせるという好結果にもつながっています。
久保健太さん。2008年新卒入社で現営業部の部長。学生時代はサッカー一筋で、大学時代は約130人が在籍するサッカーサークルの主将を務める。「世の中に影響を与える仕事をしたい」という思いを持ちながら広告代理店やプロモーション関係の仕事を中心に就活を行なっているときに、先輩の紹介でMICを知る。
松尾力さん。2014年中途入社で、現マーケティングチームの次長。大学在学中に行ったイギリスで日本の存在感の薄さを知り、日本を変えたいという熱い情熱のもと経済産業省に入省。そんななかMICとの偶然の出会いからその社風に衝撃を受け、転職を決意。
久保:もともとは広告代理店やセールスプロモーションとか、世の中に影響を与えられる仕事がしたかったんです。そんなときに大学の先輩からMICを教えてもらいました。
会社説明会で惹かれたのは、若いうちからいろいろと仕事を任せてもらえるということ。広告代理店だとフロントの部分しかできないですけど、MICには自社工場もあるので最初から最後までワンストップで課題の解決に導けることも魅力でした。
松尾:私は久保と違って中途で入っていますが、経産省時代に全国の中小企業やベンチャー企業で実際の経営を学ぶ機会がありました。その派遣先がたまたまMICだったんです。印刷業界という点では、最初はあまり興味なくて(笑)。
久保:あ、そうだったんですね(笑)
松尾:そうそう。でも当時から会社として成長していたこと、業界全体とのギャップがあっておもしろさを感じていました。
とくに響いたのが、当時の水上社長(現会長)の「成長する産業はない、あるとしたら成長する企業だけだ」という言葉。経済産業省では、産業ごとに物事をとらえていたのでその言葉が強烈に刺さりましたね。
印刷業が伸びていく産業だとは、正直思っていなかったです。でもそのなかにはMICみたいに伸び続ける企業もあることに気づいて、産業ごとに物事を見ていくのは無意味だって気づいた瞬間でした。
久保:覚えている言葉が2つあります。「社員の君たちが主役」、「No try, No success!」。
失敗を恐れずにどんどんチャレンジして成功を掴んでいく。そんな社風だと聞いて、自分に合いそうだなと思いました。
松尾:そう、社風が良いんですよ。「No try、No success!」を地でいく感じに共感しました。
松尾:印刷工場よりもロジスティクス部門の方が明らかに規模が大きいこと。普通の印刷会社からしたらありえないんですよ。
もうひとつは、やると決めたらとことんやる姿勢ですね。
久保:そのあたりは「No try,No success!」の方針が大きいですよね。各部署によってやり方は違うと思いますが、そういったビジョンがあるからみんなが同じ方向を向いて一緒に頑張れると思います。
なにかひとつのプロジェクトが終わった時にはみんなで分かち合う。個人で進めることって、あまりないんですよ。だからうまくいったことも大変だったことも、みんなで共感できる。チームの一体感はすごいと思います。
久保:いまの話にもつながりますが、やっぱり「人」です。社員が600人くらいいますけど、どこかの部署がピンチになった時に、他の部署が助ける文化があります。
たとえば納期が間に合わなくなりそうなときに、お客様先に常駐している人も本社にみんなで行って、みんなで作業をしたりする。
良い意味でセクショナリズムがありません。お客様のために、成果のためにみんなで一丸となってやるという文化があります。
松尾:私がおもしろいと思うのは、今の雰囲気を見るとベンチャー気質なのに、創業75年で財務的にも優良というアンバランスさ。どちらも持っているのは本当に稀だと思います。チャレンジできる環境が整っているので、成長したいと思っている人にマッチすると思うんですよね。
久保:いまはプレイヤーというより管理する立場で、クライアント(楽天モバイルさん)の会社に常駐しています。常駐しているのはほかにも営業職やクリエイティブの担当者です。
楽天ひかりというサービスを契約していただくためのプランを一緒に考えたり、あとは新しいショップを作っていくことを行なっています。
松尾:私が取り組んでいるのは、ドラックストア業界の課題解決です。ドラックストアにはいろいろなメーカーから販促物が送られてくるので、店側からすると受けとりに手間がかかります。
たとえば大きな箱に小さいポップが1個と積載効率が悪かったり、販促物も全体の3割程度しか使われていないケースもある。
我々が提案しているのは、弊社が抱えるセンターにすべて集約して店舗ごとに仕分けし週一回まとめてお送りすること。
各メーカーのものがシェアリングされるので配送費が下がり、全体として無駄がなくなります。このようなコスト削減や効率化のご提案を差し上げています。
久保: 2021年4月に楽天モバイルがiPhoneを作り始めたときの話ですが、我々がやらなければいけなかったのは、端末を店舗にちゃんと届けることと、アップルの販促物を店舗に装飾すること。販促物に関しては「久保さんに任せます」と言っていただいて、アップルさんとのやり取りも一任していただきました。
普通は外部の人間にここまでの権限を持たされることってないと思いますが、チームの一員として見てくれているのがとても嬉しい。もちろん、それまでの関係性構築の必要はありますけどね。
松尾:今話したドラッグストア業界のビジネスの立ち上げですかね。元々新規事業を頼むと上からは言われていたんですけど、たまたまドラックストアに提案できる機会があって、販促物という切り口から考えたときに解決できることがあると気づいたのがきっかけでした。
店舗調査をして現状を把握し、ビジネススキームや事業収支やリスクを考え、配送センターを契約したり、メーカーの方に説明会を行なうなど多岐にわたって大変な部分もありましたが、心に残っています。「起業」にある意味近いことをやらせていただいているので、とても貴重な機会をいただいています。
久保:流行りやビジュアルを総合的に考えて、どう作るかをお客さんと一緒に考えていくのが、醍醐味だと思うんですよね。
弊社には営業のほかにディレクター、デザイナーもいますが、みんなで一緒に店舗を見に行って、課題の把握や、目指すべき未来などをさまざま職種の人が混ざってディスカッションしながら進めていきます。
そしてやってみて良かったことや悪かったことを次に活かしていく。そうしてお客様と信頼関係を築いていって、一緒にパートナーとして取り組んでいけるのがとてもやりがいにもつながります。所属する会社は違うけど、同じチームとして一緒のゴールに向かってやっている感じです。
松尾:いまはマーケティング部門ですけど、私も最初は営業をしていました。仕事が生まれるのは営業からだから、そこを理解できないとなにもできないという思いで志望しました。当時はまだ「印刷色」が強かったですが、印刷のいろはを理解するとともに、久保が言っていたようなチームとしての一体感を感じられるのがとても良いです。
久保:楽天モバイルの店舗を郵便局にオープンするというプロジェクトで、そのプロジェクトチーム採用のコンペがありました。
我々の強みは、解決するための手段・そして優秀なメンバーが揃っていること。店舗構築のノウハウを持っている者もいれば、販促物の納品方法や活用術を理解しているメンバーもいるし、より良いブースを作るためのクリエイティブチームもいます。あらゆるノウハウを持っていたことが刺さり、コンペに勝つことができました。
プロジェクトチームのメンバー数を当初先方が想定していた7人から5人にしましょうという提案もしました。それも我々がそのノウハウやリソースを持っていたからこそです。
久保:ないんじゃないでしょうか。自分一人ではもちろん解決できないですけど、パートナー企業もいますし、ウチだけで解決できることもたくさんあります。
松尾:ウチの仕事は印刷会社の範疇ではないと思いますね。お客様の課題を解決するために店舗調査をして、ファクトを掴んで、仮説をつくる…というのが普通だと思うんですけど、僕らはそれをオペレーションにまで落とし込めます。
各社と連携をとって、細かい課題まで一つひとつ解決してカタチにしていく。他ではなかなかできないことができると思います。
久保:いま松尾が言っていた「お客様の課題を一緒に考えて解決していく」、それをもっとやっていきたいです。単に手段を提案するのではなく、お客様がなにに困っていてなにを解決したいのかを一緒に考え、一緒に解決していくパートナーであり続けたいと思っています。
その意味でも、お客様にMICを選んでもらう理由を追求していかなければならないって思っています。そこを具体化していくのが、今後の私の仕事かなと。
MICの競争優位がどこかを言葉にするのは難しいんですけど、やっぱり「人」だと思います。
システムやワークフローを構築していくのももちろん大事なんですけど、それを提供していくお客様がどう思っていて、それをどう提供していくかはコミュニケーションをとらないとわからない。コミュニケーションをとることで、背景にある課題や思いが見えてきます。
お客様のなかでも情報が分断されていることもあるので、私たちが動いてつないだり、教えたりして、MICが重要な存在だと思ってもらえる。
「MICさんってなんでもわかっているよね」という状態にしていきたいし、それができるのが我々の強みのひとつだと思っています。
松尾:私は小売業の生産性を変えていきたいですね。ひいては日本全体で非効率な要素を全部変えていきたいって思っています。
日本の小売業のGDPは2割くらいですけど、非効率な部分も多くて。小売業が変わったら日本の生産性自体が変わるんじゃないかと思っています。
あとはこの会社をもっと成長させていきたい。老舗中小企業が脱皮をして、新しいビジネスモデルをどんどん作っていくというのは、なかなかないじゃないですか。そんな先を目指し続ける会社にしていきたいですね。
久保:「できる人」ではなくて、一緒に分かちあえる人、チームで働くのが好きな人。
スキルは会社に入ったらいくらでも磨けるので、いま言ったようなマインドを持っている人の方が、きっと活躍できると思います。
松尾:久保が言ったものに加えて、成長意欲がある人が良いですね。あとはチャレンジを楽しめる人。変化のない会社は衰退していくと思うので、変化も楽しめて成長していける人と一緒に働きたいですね。
苦戦が続く印刷業界のなかでも、2011年から10年連続の増収を続けるMIC。飛ぶ鳥を落とす勢いのMICのなかでも特大の活躍を示す久保さん・松尾さんは、常に「お客様の課題を一緒に考えて解決していく」を実践しています。とはいえ、単なる解決策の提示にとどまりません。お客様先に常駐して現場の温度感を感じながら一緒に話合ったり、あるいは現場を直接確認してリアルな課題を知覚することで、お客様が抱える真の課題を発見、解決に繋げています。そのコミュニケーション頻度は相当多く、だからこそお客様から絶大な信頼を寄せられ、大きな役割を任されているのでしょう。
これは、企画やデザイン、マーケティング、デジタル化、ロジスティクスまで一気通貫でサービスを提供できるMICならでは。
そして2人の根底にあるのは「No try, No success!」という創業期から続く社風です。MICにはチャレンジを後押し、若いうちから責任のある仕事を任せてくれる環境があります。創業から75年以上続く老舗にありながら、ベンチャー気質で成長を続ける稀有な会社で働くワクワク感や楽しさを、ぜひ体感してみてください。