就活を成功させたいなら、印刷業界の基本的な流れは最低限頭に入れておくべきです。このページでは印刷物が出来上がるまでの流れや外注費用、デジタルとアナログの違いなどを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
ひとくちに「印刷」と言っても、その工程は実にさまざまです。具体的に、印刷の工程にはプリプレス工程、プレス工程、ポストプレス工法の3種類が存在します。就活中の人は、まずそれぞれにどのような特徴があるのかを知っておくのが重要です。
プリプレスとは、印刷機にかける前段階の工程のことです。「印刷前工程」とも呼ばれており、どのような内容のものをどの媒体で印刷するのかといった、企画・編集・デザインを行います。
また、デザインされた原稿を参考に原稿を清書する制作・製版・刷版も、プリプレス工程の中に含まれるでしょう。デザインや仕上がりの細かいミスや問題点を洗い出す校正作業も行うので、この作業を丁寧に行うか行わないかで仕上がりに大きな影響を与えます。
プレスとは印刷の意味で、実際に対象物へ印刷を行っていく工程のことです。プリプレスからポストプレスまで全ての工程を「プレス」と呼ぶ場合もあるので、話の流れからどの範囲のことを指しているのかを判断しなければなりません。
具体的な内容としては、プリプレス工程で作った刷版を使って媒体への印刷を実施。インクを刷版に付けて転写するのが一般的な方法です。
ポストプレス工程とは、印刷された物を加工して納品するまでの流れのことです。書籍やアルバム、パンフレットなどは単純に媒体へ印刷しただけでは完成とは言えないため、印刷後に加工を行います。
具体的な作業としては、印刷物の形を整える裁断や製本などが挙げられるでしょう。こうして美しく整えられた印刷物を丁寧に梱包して配送・納品するまでがポストプレス工程に含まれます。
上記では印刷における大きな工程の種類について紹介しました。ここからはそれぞれの工程で行われる作業について、より具体的に解説していきます。これをチェックすれば、印刷物が完成するまでのイメージをより明確にできること間違いありません。
プリプレス工程で最初に行われる原稿制作では、企画・編集・デザインをメインに進めていきます。企画では印刷する内容や体裁などを細かく決めてくので、この段階で完成イメージを作成するケースがほとんどです。また、印刷後の加工に至るまで、どのような作業が必要かを洗い出すのも企画の重要なポイントとなっています。
編集やデザインでは、企画で決まった内容をさらに良いものとするために、原稿や作業指示書に修正や加筆を施していきます。特に作業指示書では構図や色、文字体裁などを詳細に記載し、「誰が見ても完成がイメージできるか」を意識するのが大切です。
原版とは、刷版の中でも1番最初に作成される版のことです。最近ではDTP(Desk Top Publishing)といった専門用語を耳にしますが、これはパソコンを使って原版を作成する作業を指します。
DTPソフトを使った原版作成は、より自由かつ高度な表現ができるとして人気があります。とはいえ、モニタやプリンターでチェックできるのはあくまでも二次元情報となるため、三次元の立体物に対する印刷では面付けの変更などが欠かせません。また、パソコンの画面と実際の印刷物ではインクの発色も異なるので、ソフトを使ったからといって作業が簡略化するかというとそうではないことを覚えておきましょう。
パソコンで原版を作成しない場合は、印刷データを透明フィルムに落とし込んだ金属板が用いられることがほとんどです。金属へダイレクトに図柄を彫るわけではないので、保管が容易になるというメリットがあります。
刷版は実際の印刷で使われる版のことで、オフセット印刷の場合はクリアフィルムに印刷原稿を落とし込み、そのフィルムを金属板に感光させて作られます。仕上がりがモノクロの場合はフィルムの枚数が1枚ですが、フルカラー印刷はCMYKといった4原色を応用して色を作るので4枚のフィルムが必要です。
刷版が出来上がったら、いよいよ媒体への印刷を行います。印刷は大きく活版印刷(凸版印刷)、グラビア印刷(凹版印刷)、オフセット印刷(平版印刷)、スクリーン印刷(孔版印刷)の4種類に分けられます。
活版印刷は印刷する部分が凸状に製版されており、そこにインクを付けて媒体を押し付けるだけで美しい印刷物ができるというものです。版画や消しゴムハンコをイメージすると分かりやすいでしょう。グラビア印刷はシリンダの回転によって媒体へ色を重ねていく印刷方法で、細かい濃淡を表現できるのが特徴です。そのため、写真印刷によく利用されています。
オフセット印刷は教科書やパンフレットに使われることの多い印刷方法で、水と油の反発を活用しているのがポイント。反面を濡らしながらインクを塗布し、ゴムブランケットに転写してから媒体へ再転写するのが特徴です。スクリーン印刷は印字部分にだけ穴をあけた版を使い、そこをインクが通過することで印刷されるという仕組みを採用しています。インクを厚く盛れるうえ、紙だけでなくガラスや金属などさまざま媒体へ印刷できるのが魅力です。
ポストプレス工程に分類される製本・加工作業は、パンフレットや書籍など加工が必要な印刷物に行う仕上げのことです。製本の流れは、折り、丁合、綴じ、断ちの4ステップが挙げられます。
なお、製本には上製本と並製本の2種類が存在し、上製本はハードカバーの書籍が対象です。並製本はさらにのり綴じ製本、無線綴じ製本、中綴じ製本の3種類に分類されます。のり綴じ製本は針金などの金属を使用しないケガのリスクが低い製本方法で、無線綴じ製本は背表紙を付ける時に最適な製本方法です。中綴じ製本はホチキスを使用した製本方法で、コストを抑えるのに効果的でしょう。
梱包・発送は、その名の通り完成した印刷物を発注者のもとへ送る作業です。梱包方法には、ビニール包装、帯掛け、シュリンクなどがあります。
ビニール包装は最も簡単な梱包方法で、ビニール袋で印刷物を包むだけ。帯掛けは帯で印刷物をまとめる方法で、発注者の要望や印刷物の厚みによってどのような帯が採用されるかが異なります。シュリンクは紙やクリアフィルムで印刷物をまとめる梱包方法です。
印刷の種類には、デジタル(オンデマンド印刷)とアナログ(オフセット印刷)の2種類があります。これらの決定的な違いは、印刷時に版を使用するかどうかです。
オンデマンド印刷はパソコン上でデータ作成からデータチェックや色校正を行ったうえで、版を作らず印刷処理を実施します。データの入稿が完了すればそのまま印刷ができるので、オフセット印刷よりも印刷までの流れがスムーズだというメリットがあるでしょう。
一方でオフセット印刷は版を使った印刷方法で、版に付着したインクを一旦ブランケットへ転写してから、媒体へ再度転写していきます。部数が多い印刷の場合はコスト削減が期待できるうえ、印刷物の品質を一定に保つのにも効果的です。