本記事では印刷業界のメタバースについて、その概要や必要性、メリットなどを解説します。
メタバースは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、およびユーザーの参加を通じてインタラクティブな体験を提供するコンピューターシミュレーション環境です。これは、現実世界の物理的な制約を超え、ユーザーが仮想空間内で創造的に行動し、他のユーザーと交流することができるようにします。
メタバースはユーザーが自分自身を仮想的な存在として表現し、自由に操作できるデジタル空間です。これには、バーチャルリアリティヘッドセットやARデバイス、コンピューターゲーム、オンラインプラットフォームなど、さまざまな技術とアプリケーションが組み合わされることがあります。
またメタバースは、リアルタイムの情報やデータの流通の場でもあります。例えば、メタバース内でのバーチャルなイベントや会議が行われ、現実世界のビジネスやエンターテインメント産業とも連携し、新たなコミュニケーションやビジネスモデルを提供する可能性があります。
個人や企業、教育機関、エンターテインメント業界など、さまざまな領域で利用されることが期待されています。仮想的な空間と現実世界の融合により、新たな形態のコミュニケーション、創造性、ビジネス機会を提供する可能性を秘めているのです。
メタバースを利用することで、印刷業界は仮想的な展示やプレゼンテーションなどを実現できます。製品やデザインのサンプルをバーチャルな展示会場で公開し、顧客や関係者とリアルタイムでインタラクティブな体験を共有できます。これにより、地理的な制約や物理的な展示スペースの制約を乗り越え、広範な視聴者に向けて製品やサービスを効果的に宣伝し、販売することが可能です。
またメタバースは地理的な制約を超えたグローバルなアクセスとコラボレーションを促進します。印刷業界のプロフェッショナルや顧客は、場所や時間にとらわれることなく、仮想的な空間でリアルタイムにコミュニケーションや共同作業を行うことができます。このようなグローバルなアクセスとコラボレーションは、新たなビジネスチャンスやクリエイティブなアイデアの発掘につながります。
大日本印刷は、リアルとバーチャルが融合された地域共創型空間「パラレルシティ」を開発しました。新しい街づくりやスマートシティ構想などとも親和性が高いメタバースです。中立的にさまざまな業種や産業と横断して携われるという点で、強みを発揮できると考えられています。既存のリアルの場やECなどの拡張を行い、現状の延長線上に価値を築くことを目指しています。
印刷業界を牽引してきたTOPPANは、ビジネス向けメタバースサービス基盤「MiraVerse®」、アバター管理基盤「AVATECT®」を開発。安全・安心なデジタル空間を構築し、参加する個人や企業に新たな体験をワンストップで提供できるようにしました。豊かな表現やコミュニケーション機能を活かし、現実の社会問題に対するシミュレーションの実施も視野に入れています。