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印刷業界の今後

印刷業界における現状の課題と、今後の成長性が見込まれる事業領域としてデジタル化やMSP、BPOなどを紹介します。

印刷業界の現状

経営の課題解決に役立つWEBメディア『Frontier Eyes Online』に掲載されている2021年6月29日付け記事「印刷業界の現状と展望は?直面する課題や打開に向けた取り組みを紹介」によると、2019年の印刷業界の製品出荷額は約4兆8,270億円でほぼ前年同様。製品出荷額を印刷分野別に見ると、トップシェアは商業印刷で36.5%、次に出版印刷が16.3%、事務用印刷が14.7%と続きます。
印刷業界がおかれている状況の中でも、特に大きな課題とされているのは、以下の4点です。

今後さらに広がる印刷業界の領域

印刷事業はもとより非印刷事業も含めて、印刷業界の各社が積極的に取り組んでいるビジネスやサービスの中で、特に注目すべき傾向を4つピックアップしてみました。以下に概要や印刷会社の取り組み方などを紹介します。

MSP

MSPはMarketing Service Provider(マーケティング・サービス・プロバイダー)の略称。
印刷会社にとってDMやチラシなどのSPツール作成は得意とするところ。もちろん、印刷物作成だけでなく、マーケティング全般をサポートするといったサービス体制で、マスメディアのメディアバイイングを別にすれば、従来の広告代理店の事業領域を印刷会社がカバーすることも可能です。

デジタルメディア

クライアントとなる企業から見て、印刷物とウェブサイト、SNSなどプロモーション全般をワンストップ対応してくれる発注先なら頼りになります。加えて、デジタル化という意味では印刷物の電子化もニーズがあり、製品カタログやマニュアルなどのデジタルブック制作、出版物の電子書籍制作などもシナジー効果が高いビジネスといえます。

BPO

BPOはBusiness Process Outsourcing(ビジネスプロセスアウトソーシング)の略称。印刷業界でBPOと呼ばれるのは、企業や自治体をクライアントとして、印刷物作成はもとよりデータ管理も含めた発送業務や顧客対応など、ワンストップでひとつの業務を請け負うサービスを意味します。

印刷製造

印刷事業そのものはオンデマンド印刷に象徴されるように、効率化によるコストダウンは避けられないところ。同時に、デジタル化に伴うバリアブル印刷や高品位印刷といった付加価値のある印刷技術を導入することで、ニーズの開拓にもつなげています。

情報セキュリティ 

偽造品の流通や個人情報の流出は以前から問題視されています。印刷業界は紙幣やパスポートに代表されるように、模倣品対策と偽造防止に深い関わりあいを持ってきました。

情報漏えいや偽造品の流通は金銭面での損失だけでなく信用問題、ブランドの毀損などにつながります。高度な加工技術や特殊なセキュリティ用紙などを用い、情報セキュリティ技術を提供できる印刷会社は顧客ニーズも高くなります。

包装/パッケージ

コロナ禍以降商品の食品の持ち帰りが増えたり、個食化にともなう個別パッケージの増加など軟包装分野の需要が増えています。このような状況を利用して、パッケージ素材の選定からデザインまでの提案と印刷、製袋や充填作業など総合的に行う事業へ拡大している印刷会社もあります。

知っておくべき!印刷業界が抱える課題とは?

印刷業界は広告業界や出版業界、一般企業など幅広い業界と企業と連携しながら発展してきました。しかし現在はインターネットと電子化の急速な発達により、印刷業界じたいが存続できるかどうか瀬戸際に立たされています。

印刷業界への就職を希望しているのであれば、印刷業界の抱える現状と課題をしっかり把握しておきましょう。課題を知ることで将来の展望が見えてきます。

紙媒体の減少とデジタル化による市場の縮小

インターネットの普及やペーパーレス化の推進により、紙媒体は減少しています。紙媒体はデジタル化が進みネットニュースや電子書籍などを利用する人が増え、企業においても費用対効果が高いのはデジタルだと判断してペーパーレス化が進んでいます。またPC上のレイアウトのまま印刷できる技術が発達し、会社や個人宅で簡単に印刷できるようになって印刷物を内製する会社や店舗が増えました。

このような状況下で印刷事業を展開していくには、印刷技術による差別化やワンストップなどのサービス化をアピールする必要性があります。

環境問題への経営判断

最近「カーボンニュートラル」という言葉を耳にする機会が増えました。カーボンニュートラルとは、カーボン(炭素)を主成分とする温室効果ガスの排出を差し引き、0(ニュートラル)にする取り組みのことです。

印刷業界においてインクは石油、紙は木を原料にしていますが、環境問題の高まりからインク生成によるエネルギー排出量や紙資源の浪費など問題視されるようになりました。今後は資源節約への対策や環境に優しい製品づくりなど、地球規模の環境保全に向けてどのような経営判断をしていくか、企業の意思決定に注目されています。

市場の寡占化に対抗する戦術を見つける

印刷業界は少数の大手企業が市場を支配しており、中小企業は同じ土俵で競争を勝ち抜くことは難しいのが現状です。出版社や新聞社からの発注は大手企業に集中しており、それ以外の印刷会社では高い固定費を抱える中、厳しい経営を迫られています。

このような状況を打破するには印刷業以外の分野に視野を広げ、特定分野へ注力することが生き残る戦略です。「今後さらに広がる印刷業界の領域」で先述した通り、MSPやデジタルメディア、BPO、特殊技術によるセキュリティ対応、軟包装分野といった印刷技術と印刷業界で培った経験を糧に顧客にニーズに応えるサービス力を向上させる必要があります。

印刷業界の今後の展開は?

印刷業界へ就職を検討しているならば、これから印刷業界はどのように変化するのか予想し、今後の展望を把握しておきましょう。

ニーズに応える企画力と低コストに二極化

印刷業界では今後、顧客ニーズに対応するために印刷前の「企画力」に力を注ぐ会社と、「コスト削減」に注力する会社とに分かれるだろうといわれています。

クライアントからすると、デザインやレイアウトなどのプリプレスから印刷するまでワンストップでできる企画力のある印刷会社への依頼は、複数の会社に依頼する手間が省けるメリットがあります。斬新でクオリティの高いデザインと企画を提案できる印刷会社は、今後依頼数を伸ばすことができるでしょう。

また経費削減が謳われているなか、一定のクオリティがあり低コストで受注してくれる会社に対しても需要はあるといわれています。

デジタル分野に参入してサービス拡大

紙媒体の印刷だけでは将来性が薄いと判断し、デジタル分野に参入してサービスを拡大している会社もすでに存在します。電子書籍やデジタル広告事業、印刷事業と融合したデータ管理やWebページの運営など効率性の高いデジタル化に参入して受注幅を拡大を目指します。

業種転換や新事業へのシフトチェンジ

印刷業界から異種転換へ思い切ってシフトチェンジする選択もあります。あるいは先述したようなデジタル分野などの新事業と並行する方法です。

例えば印刷ノウハウを活かせる異種転換であれば、印刷コーティングの技術でエレクトロニクス事業に転換するなどです。また新規事業であればデジタル印刷機を導入してオンデマンド製本部門の立ち上げなども可能です。他業界への柔軟な転換は、印刷業界での勝ち残りにつながるでしょう。

印刷会社が生き残るために必要なことは?

印刷業界が厳しい状況にあるのも事実ですが、この業界に未来がないわけではありません。今後は厳しい競争に生き残るための改善策や価値創造のための提案をしてくれる人材が求められます。印刷業界が生き残るために必要な知識や人材、対応を把握して就職に臨んでください。

専門性をアピールにする

印刷業界で生き残っているためには、他社より優れた製品の開発など専門性を武器にすることです。「特殊印刷に特化したサービスの提供」や「デジタルより高度な色彩を再現する」といった専門性を武器にできれば、安定した売上を確保するだけでなく企業間の業務提携が進む強力なカードになります。

また「クオリティの高い印刷物を安価で納品する」といったコスパをウリにするのもひとつの方法です。今まで注文部数やコストがネックになって外注していなかった中小企業や自治体、個人客などをターゲットに新規開拓をすることができます。

専門知識を身につける

新規顧客を囲い込めるような業界の専門知識を身に付けることも必要です。例えば病院や医療機器などのメディア系、エステサロンや美容外科などの美容系、オフィス機器など特化した専門知識などです。その分野専門の知識を持つことで、デザインやレイアウトなどの企画を提案できるようになり、安定した顧客を確保できる可能性が広がります。

新事業を展開する

新規事業への展開戦略は、印刷業界で生き残るための有効手段のひとつです。印刷業にこらわらず、顧客のニーズに応じた柔軟な転換は厳しい印刷業界を勝ち抜く有効な解決策になります。下記のような新事業例を参考に、印刷業界で培った経験や技術、既存顧客とのパイプなど活かせる分野を探してください。

志望動機には印刷業界を選んだ理由を明確に

私たちの生活に密に関わっている印刷業界が消えることはないでしょうが、今後業績を向上させるには印刷技術のノウハウにサービスを加えた印刷事業をおこなうか、電子分野へなどへの新規事業へ転換するといった選択を迫られています。このような状況の中で就職活動を行い、企業が求める人材と認められるためには具体的な志望動機を示す必要があります。

こちらでは志望動機のアピールポイントを紹介していきます。

なぜ印刷業界なのか、その理由を伝える

なぜ印刷業界を志望したのか、その理由を具体的に会社側にアピールすることが重要です。その際「印刷技術に感動した」「印刷する立場から書籍を支援していきたい」など、他の業界ではなく印刷業界でなければならない理由を伝えることが肝心です。他の業界でもできる志望動機の記入や面接での返答は、印象が残らないか評価を下げることになるでしょう。

志望企業独自の強みに触れる

印刷業界を志望理由の次には、なぜその企業でなくてはいけない理由について伝えましょう。印刷業界と一口にいっても出版印刷を専門にしている企業もあれば、商業印刷だけを扱っている会社もあります。また得意とする分野もそれぞれ異なるはずです。

印刷業界の中でも「この企業だからこそ自分は志望したのだ」という気持ちを伝えるためには、志望企業独自の技術や強みをしっかりリサーチすることです。その調査によって得た「企業の強み」を志望動機につなげて伝えてください。

採用するメリットを伝える

志望する企業が自分を採用することでどのようなメリットがあるのか、自分はその会社でどのような貢献ができるのかをアピールしましょう。仕事への意欲は大切ですが、やる気だけで価値ある仕事はできません。自分の長所や仕事で活かせるスキルを提示し、どのように役立てることができるかをヴィジョンを持って伝えます。

どのように貢献できるのか、企業の課題にどのように取り組むのかなど具体的に伝えることで、面接官もあなたがその企業で活躍する姿を思い描きやすくなります。

印刷業界の今後のまとめ

印刷業界というと、「紙に何かを印刷する」事業が主体というイメージがあるかもしれませんが、実際はかなり多角化しています。非印刷事業に注力している印刷会社も多々あり、それらは印刷事業との親和性を活かすことで強みともなるもの。アナログ~デジタルのマルチメディア対応やプロジェクト全体のワンストップ対応など、印刷会社の業務領域が拡張しているだけに、多様な事業に携わることができるチャンスともいえます。

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